WEEKEND BASE

週末がちょっぴり楽しくなる何かを紹介していきます。

マンガ「グラシュロス」。確かな画力とストーリと謎の面白さが共存するマンガ。

まず、このマンガは面白いです。

 

さて、舞台は30000年、原始時代を生きるアクウという少年の物語。赤い月の夜に生まれた子は、集落に災いをもたらす。生まれてすぐに忌み子として殺されるはずだったアクウ。しかしアクウの父は運命を覆す道を選び、見事掴み取る。アクウは無事にこの世に生を受けたのだが、数年後集落に絶望が襲いかかる。ある日集落に”絶望の山”=”グラシュ”が現れ、集落は壊滅。生き残ったアクウは”グラシュ”を”殺す”=”ロス”することを決意する。

 

作者は原作が金城宗幸、作画が藤村緋二のタッグ。ヤンマガで連載中。単行本は既刊4巻(2018年9月27日現在)

 

マンガを見つけたのは本屋をフラフラしていた時で、平積みになっているのを見つけて買いました。まだ4巻だしとりあえず全部買って読もうと。帯に”神様の言うとおり”のタッグ再び!”と書いてあったので完全にミーハー気分全開でレジに向かいました。と言うのも私”神様のいうとおり”読んだことがないんですねー。ちらっと立ち読みはしたことがあるのですが、だいぶ話が進んでいてついていけませんでした。確か映画化していたなーという記憶と、絵は好きだったので大外れってことはないだろうとたかをくくっておりました。

 

帰って読みました。面白かったです。絵もストーリーもよかったです。

しかし!

個人的には一番はそこではありませんでした。何が面白いかというと、”言語”です。舞台は原始時代です。もちろん我々は原始時代の言語は知りません。マンガの世界では多言語を描く際いくつかの手法があります。

・日本語は縦書き。

・実は英語を喋ってるやつは日本語だけど横書き。

・実際に外国語が買いてある。

この辺りの手法をシーンにおいて使い分けたりしています。(多分)

 

しかし”グラシュロス”ではちょっと斜め上でした。

映画などでも架空の異星人の言語なんかを実際にちゃんと作ったりして喋るということはありますが、グラシュの言語も架空です。最初に読み進めていると「なんかそういう原始時代の架空の言語なんだな」という認識で読んでいました。

でも途中で「ん??」となります。

彼らは”集落”のことは”アーツ”と呼んでいます。「はい、はい、はい。なんかそうなのね、アーツなのね。」という具合に読み進めます。すると途中で”集落会議”が出てきます。彼らは”アーツマーリ”と呼んでいます。

一回普通に呼んでスルーします。

”アーツマーリ”

”アーツマーリ”

”アツマーリ”

”集まり”

”集まり”か!!!!!!

確かに集まり何です。他にもそんなんがいっぱい出てきます。”狩人”=”アズサ”。これは”あずさ2号”を歌っている歌手の”狩人”からきています。”長老会議”=”ピーテイエー”。もちろん”PTA”ですね。”半信半疑”=”ビットコイン”のようなちょっと皮肉った作者の斜め目線の言語もたくさんあります。この”言語センス”がたまらくいいのです。こういうのがずーっと出てきます。これが個人的には面白くて、気づいたら頭の中がそれで侵食されていました。

 

シリアスなストーリー展開においてもこの”言語センス”は常に全開なので、一度で二度美味しいみたいな状態がずっと続きます。もちろんこの面白さ以外のストーリーもあってこそなので、そこはご心配なく。

 

今までにない面白さを持った”グラシュロス”。一度はぜひ読んでみてください。